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青少年交換委員会より 岡邉晴香さん(岡山旭川RC) 読書感想文2

2014/02/27

「職業は武装解除」(瀬谷ルミ子著)を読んで
岡邉晴香
 
 1945年8月15日、日本はアメリカに降伏し、終戦を迎えました。
それからしばらくの間、日本はアメリカの占領下にありました。GHQの下で日本が二度と戦争を繰り返さない様、平和主義を柱の一つにする日本国憲法が作られ、日本から軍隊は無くなりました。
その一方、終戦から70年近く経つ今もなお沖縄を中心とした米軍基地の問題や従軍慰安婦問題などが残っています。「終戦=すべての解決」ではないということを、私はこの本を読んで気づきました。

 本の中で、アフガニスタンやシエラレオネといった内戦中、または内戦後の国が紹介されていました。
私は今まで、戦いの終わりがゴールであり、戦いが終わればそれでいいと思っていました。だから、内戦のニュースを見て抱く感想は「早く終わればいいな」でした。ニュースでも、内戦中や内戦の終結直後は大きく取り上げられます。しかし、その後その地域がどうなっているのかを私は知りません。まして、戦った兵士一人一人の生活を考えたことなどありませんでした。戦いが終わり戦場から帰還した兵士を待っていたのは、平和な生活ではなく、貧困や暴力、差別があふれる生活でした。戦いによって家や家族を失い、戦場で受けた傷を抱え、人殺しと言われて周りから避けられる、逆に元兵士が優遇されて他の人との大きな差になる、結局は軍隊しか居場所が無いという兵士がたくさんいるそうです。そういった兵士が戦いで使った武器を再び手にしてさらに治安が悪くなっていきます。戦いが終わったからと言って、平和な生活になるとは限らないのです。そういった元兵士の武器を回収し、新しい生活を始める手助けをするのが著者の瀬谷さんの仕事だそうです。考えてみれば当たり前のことですが、戦いが終わった後もその地域は存在し続けるし、戦った兵士の人生も続いていきます。

 アジア・太平洋戦争の終結から70年経った今なお問題を抱える日本にとっては決して他人事ではないはずです。戦後、焼け野原から東京オリンピックを開催するまでに至った日本は、戦いの後の生活もその後の復興も知っています。国は違っても、何かしらできることがあるはずです。実際、瀬谷さんの活動に対して現地の人は「日本人が言うから武装解除にも応じられる。日本は軍需の輸出もしてないし空爆もしないから。」と言ったそうです。しかし、一方で、日本の外交について「日本は支援としてお金は出すが、具体的な行動はあまりしていない。だから日本がどんな支援をしているのか印象に残らない。」という意見もあるそうです。印象に残るための支援ではありませんが、お金を出して終わりでは自己満足に近いのではないかと思います。現地の人の話からも分かるように、平和主義を掲げる日本は確かに、他国の信頼を得ていました。しかし、今の日本は、「○○をしない」という受け身的な姿勢のように思います。せっかく信頼を得たのだから、積極的に行動して能動的な姿勢をとることも日本にはできると思います。技術を教えたりすることはNGOなどが行っているそうです。それに政府が協力したり、そういった活動を若い世代に広めたりして、活動を充実させられると思います。
 
 日本は今では世界でもトップに近い豊かな平和な国です。しかし、今、戦いで疲れ切っている国は、日本とは無関係ではありません。70年前は日本も同じような状態だったのですから。戦いの後も一人一人の人生は続くし、その国も存在し続けます。戦いがあったという事実も同じように存在し続けます。それはアフガニスタンでもシエラレオネでも、日本でも、同じです。そんな日本が70年間で何を学んだのか、今も残る問題にどのように向き合うのか、そして、昔の日本と似た状況にある国に日本人として何ができるのか。そういったことを考えるきっかけになる本でした。


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